2年連続クライマックスシリーズ進出をかけて、DeNAが巨人と激しい3位争いを繰り広げている。今季、セ・リーグを制覇した広島を脅かせなかった両チームの弱点の1つに、機動力が挙げられる。チーム盗塁数は広島の108(記録は9月19日現在、以下同)に対して、巨人が半分の54、DeNAが3分の1の36とどちらも機動力に欠けている。
広島はトップの田中広輔の32を始めとして5人が2ケタ盗塁を記録しているが、巨人は坂本勇人14、重信慎之介10、DeNAは梶谷隆幸18、桑原将志10と、いずれも2人ずつ。足を使って、投手にプレッシャーを与えられていない。野球担当記者が話す。
「巨人もDeNAも主軸の一発頼みだけになってしまっている。特にDeNAは8月10日から9月2日までの20試合で1つも盗塁がない。7月以降、2014年に盗塁王のタイトル(39盗塁)を獲得した梶谷を7番に置いて、8番・投手という打順を続けていたため、梶谷が出塁しても次打者がバントする作戦が多く、足で揺さぶることがほとんどできなかった。それも、夏場以降に失速した原因の1つでしょう」
梶谷は今季、2番で56試合10盗塁、7番で50試合4盗塁、3番で13試合1盗塁、5番で1試合1盗塁、6番で7試合2盗塁という結果になっている。やはり、8番・投手のDeNA打線だと、7番では走りにくいようだ。
「9月18日のヤクルト戦では、5番・梶谷が四球で出塁後に盗塁を決め、6番・嶺井博希が進塁打。一死3塁から7番・石川雄洋が犠牲フライを上げ、ノーヒットで1点をもぎ取った。DeNAは9月に入って筒香嘉智が打率2割3分2厘、ロペスが2割5分4厘、宮崎敏郎が2割5分5厘とクリーンアップの調子が上がっておらず、機動力を使った攻撃が今まで以上に求められています。
梶谷は9月9日の阪神戦で猛打賞を記録して以降の9試合で、3割3分3厘と調子も上がってきている。梶谷を2番か5番、もしくは思い切って3番に置くことで足が使えれば、チームにとって大きな戦力になる。併殺打の多いロペスや宮崎の前で、梶谷が出塁して足を使えればダブルプレーの危険性も減っていくし、走者にいるだけで狙い球も絞りやすくなるはず」(同前)
残り試合はわずか、ラミレス監督は梶谷の足をどこまで活用できるか。