これまで、本誌・週刊ポストを含めたメディアは薬のリスクにばかり着目し、「薬を飲む量は少ないほうがいい」と繰り返し報じてきた。だが、「どの薬にどんなリスクがあるのか」「どの薬を飲んではいけないのか」は述べられていても、「どの薬を飲めばいいのか」について説明されることは少なかった。
一体、患者はどの薬を飲めばいいのか。それを最もよく知るのが「無用な薬を患者に飲ませるべきではない」という考えに立った上で臨床現場で長く薬を処方してきた医師たちである。
そこで本誌は今回、名医と呼ばれる医師に、それぞれの“選び方の基準”に基づく「患者に勧めてもいい薬」を聞いた。
◆生活習慣病で頼るべき薬
浜松医科大学名誉教授で、多くの著書で多薬治療のリスクを啓蒙している内科医の高田明和氏は、「生活習慣病は薬の数が多過ぎる」と指摘する。
「降圧剤は安易に使用するものではありませんが、収縮期(上)の血圧が170を超えたら、高血圧治療の第一選択肢としての歴史が長いカルシウム拮抗剤『アムロジピン』をすぐに服用すべきです。
また、糖調節機能が悪化した糖尿病予備軍は、血糖コントロールのために対糖機能障害の薬『メトグルコ』を服用して予防することが大切。コレステロールは少々高くても薬は不要ですが、遺伝的に高い場合のみコレステロール低下薬『メバロチン』を服用すれば効果があります」(高田医師)