お茶菓子の定番「ようかん」が、アウトドアの世界に進出していま大人気という。どういうことなのか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。
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「ようかん」に復権の兆しがある。昨年2016年の家計調査(総世帯)によれば「ようかん」への支出は前年の698円より約8%、53円増の751円。過去10年間でもっとも多い数字となった──。
と、論拠にするにはいささか心もとない額ではあるが、このところ「ようかん」や「あんこ」に復権の兆しを感じることは確かに多い。とりわけ「ようかん」には、従来のイメージを打ち破る新しいタイプのアイテムが続々と登場している。
それまで「和菓子」という枠内でのみの勝負にとどまっていたようかんに、スポットライトを当てたのは井村屋だった。2008年に発売した「えいようかん」は5年という長期保存を可能にした。そもそも糖度の高いようかんには1年以上の保存が効く製品もあったが、明確に「非常食」という性格を持たせたこともあって、震災時のための保存食として注目を浴びた。
そして機能性食品としての「ようかん」の性格を決定づけたのは、同社が2012年に発売した「スポーツようかん」だった。長距離ランナーやサイクリストにとって気軽に栄養補給ができ、登山者にとって携行性の高い非常食としてブレイク。
それまで人気だったチョコレート系の携行食と違い「気温や体温で溶けず」「塩分も同時に摂取できる」と評判も上々。2014年には開封性を高めた「スポーツようかんプラス」、今年2017年8月にはチョコレート風味の「スポーツようかんカカオ」と次々に新機能や新フレーバーを投入。売れ行きも順調だという。