阿武咲(前頭3)と貴景勝(前頭5)──。横綱も大関も次々と土俵から消えた大相撲秋場所で金星をあげ、抜群の存在感を示した2人は幕内最年少の21歳。中学時代から全国大会の決勝で戦うライバル同士である。
「巡業の支度部屋では仲が良いが、稽古場では周囲の力士たちが間に入っていけないほどの気迫でぶつかり合う。先輩力士が止めるまで、何番も取り続けていますよ」(後援会関係者)
この2人以外にも、貴ノ岩(27、前頭9)は11日目で勝ち越しを決め、大栄翔(23、前頭11)、大翔丸(26、前頭12)ら平成生まれのガチンコ力士たちが、激しく、速い相撲で土俵を沸かせた。
一方で、嘉風(関脇)、栃煌山(小結)、豪風(前頭10)、隠岐の海(前頭14)ら30代のベテラン勢の星が伸び悩んだ。
「支度部屋でも、阿武咲、貴景勝ら若手がイヤホンで音楽を聴くなどリラックスしながら取組に備えていたのに対し、嘉風をはじめとするベテランたちは四股や立ち合いの稽古を繰り返し、周囲の空気がピンと張りつめていたのが対照的でした。日頃の稽古が十分な若手に比べ、ベテラン勢は明らかに尻に火がついた様子でした」(相撲担当記者)
※週刊ポスト2017年10月6日号