シーズンイン早々、“ニューヒロイン”の誕生だ。フィギュアスケートの本田真凜(16)が、シニアデビュー戦となる9月16日のUSインターナショナルクラシックで優勝した。浅田真央が引退したフィギュア界に登場した救世主を巡って、テレビ局では早くも争奪戦が始まっている。
「先にブレークしたのは子役の妹・望結(みゆ)で、そこに真凜も加えて姉妹セットの取り上げ方をしていたのが、今や“市場価値”は逆転しています。選手としてはまだ発展途上ですが、“衣装を忘れた”“メークを変えた”といった小ネタでも扱うと数字は上がる。真凜自身がテレビの事情をよく察してくれて取材対応も好意的と評判です」(キー局社員)
折しも女子フィギュアでは、ソチ五輪金メダリスト(団体)であるロシアのユリア・リプニツカヤ(19)をはじめ、大物選手引退・休養が相次いでいる。さっそく真凜には2018年平昌での「五輪メダル」を期待する声まで上がっている。
ただ、テレビメディアの熱狂をよそに、フィギュアの専門家ほど「そもそも五輪に出られるかもわからない」と冷静だ。スポーツ紙の担当記者は、むしろ同い年の新ライバルに注目している。
「16歳の樋口新葉です。テレビはほとんど報じませんでしたが、真凜の優勝した試合と同じタイミングにイタリアで開催されたロンバルディア杯で2位に入った。しかも、スコアで見ると難易度の高いジャンプを武器に200点超えで、真凜を大きく上回った。これまで本番に弱かったのが“別人のように成長”と評価は急上昇。
日本女子の五輪出場枠は2に縮小している。全日本女王の宮原知子は怪我の回復が芳しくなく黄色信号ですが、安定感抜群の三原舞依(18)が堅い。真凜も“ここ一番”に強い選手ですが、今のところ平昌への切符に近いのは三原、樋口ではないか」
ひとまず知名度が先行した本田だが、代表を決める12月の全日本選手権までに、その差を埋められるか。
※週刊ポスト2017年10月6日号