ライフ

伝説の将棋メシに「ビフテキと粥」「ミカン30個注文」など

「ひふみん」が鰻重を注文し続けたことは有名(撮影:河野公俊)

 近年注目を集めている将棋。プロの公式戦は午前10時に開始して、終わるのは日付が変わることも多く、1局指し終えると体重が約2キロ減っていることもあるという。さながら「盤上のアスリート」だが、1日がかりになるために気になるのが棋士の食事事情だ。歴代1位の29連勝を果たした藤井聡太四段の対局で、報道陣が出前のご飯を追いかけたのも記憶に新しい。

 漫画『将棋めし』で監修を担当している広瀬章人八段は、対局時の食事について「全体的にエネルギー補給の意味合いが強くなっていると思う。とはいえ、タイトル戦で当地の名物があれば優先している」と語る。佐藤天彦名人もタイトル戦で当地の名物を食べるのを楽しみにしており、「普段の対局では、おいしいと思うメニューを気分に合わせて注文している。休憩時間は対局から少し離れて頭と体を休める時間と考えている」という。棋士にとって食事は対局時の大事な要素なのだ。

 棋士の食事に関心が集まるようになった歴史はかなり古い。現在から80年以上前に、新聞の観戦記で、観戦記者の倉島竹二郎氏が対局風景を記すようになったことが始まりである。将棋が古くから続いている伝統なら、記事で棋士の食事を記すこともまた昔からの伝統なのだ。

 今でも語りぐさなのが、食事が取り上げられ始めたころの1935年、実力制の第1期名人を決めるための特別リーグ戦。その開幕戦、対局者の花田長太郎九段は、昼食にビフテキに粥という妙な取り合わせの食事を取った。花田は「栄養をつけるならビフテキに限る」という食通だが、対局中はあまり食事を取らない棋士だった。それだけに、ビフテキからは大一番へかける意気込みが窺えた。棋士が何を食べたかは、その時々のコンディションやモチベーションを表すことがあるわけだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

百合子さまは残された3人の仲を最後まで気にかけられたという(2023年6月、東京・港区)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン