女性セブンの名物記者“オバ記者”こと野原広子が、世の中で話題になっている様々なトピックに自由な意見をぶつける! 今回は「玉置浩二」がテーマです。
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思いっきり私ごとだけど、「今、玉置浩二にハマっている」と友人に言うと、「なんで?」と返ってくる。そしたら1時間は離さない。彼がどんなに面白いキャラで素晴らしい音楽家で俳優か、語る語る。
思えばここ数年、テレビの歌番組が鬼門だったんだよ。一時代を築いた同世代の歌手が、声は出ないわ、音ははずすわ、「老い」が形になってこっちに迫ってくるようで、歌を楽しむどころじゃなくなるの。
そんなときよ。土曜朝のトーク番組『サワコの朝』(TBS系)にギターを抱えて出演した玉置浩二と青田典子(49才)夫妻を公式動画で見たのは。
番組でひと節歌った『清く正しく美しく』に腰を抜かしたね。本人のイメージとつながらないタイトルと、いちいち泣ける歌詞とメロディーに。
てか、そもそも彼の何を知っているかというと、結婚、離婚、変な言動をする人…くらい。自分のアホさ、目の節穴っぷりにがく然としたわよ。
そうとなったら頼りは年下の友。“玉置ファン歴20年”の彼女から借りたDVDで、才能豊かなチンピラ風味の20代の玉置浩二を見つめ、男のせつなさ全開の30代、40代の彼に胸を震わせ、人生どんづまりから抜け出した今の彼に希望を見る。
で、徹夜で聴きまくった私がおすすめの玉置浩二入門歌は、一瞬で別世界に連れていかれる『男はつらいよ』と、指揮者・西本智実が棒を振りながら「泣きそうになった」という2016年の『行かないで』。ど演歌『与作』も絶品だよ。
しかし、彼の才能を真正面から受け止められたのは、私がこの年になったからでね。若いときは、1才下の彼の歌うラブソングに「ケッ」という思いがあったもの。私だけじゃない。安全地帯が大ブレーク中、私の同級生にファンはいなかったわよ。
何もかもゼロに戻るのが還暦だそうだけど、60才から先、玉置浩二を心の杖にする。そう決めたら気持ちが浮き立ってきたんだわ。誰かのファンになるのは、楽しく生きていく近道かもね。むにゃ。
※女性セブン2017年10月12日号