「多くの国民は、この解散の意義ってなんだろうかと、間違いなくそう思っていると(自民党は)認識しなければならない。国民に信を問うならば、何のための解散か、何を問うのか、国民に明確にする必要がある」
身内である自民党の石破茂元幹事長(60才)さえ苦言を呈する、国民不在の解散総選挙がまもなく始まる。安倍晋三首相(63才)が、9月28日に招集される臨時国会の冒頭で衆議院を解散することを発表した。
加計学園や森友学園を巡る疑惑はいまだ何も解決されておらず、北朝鮮情勢も緊迫を極めるこのご時世にいきなり解散するとあって、野党は猛反対。「国会軽視」の大合唱が起きている。元共同通信記者で政治ジャーナリストの野上忠興さんが語る。
「臨時国会では森友、加計疑惑に対し、野党の厳しい追及は不可避だった。“疑惑逃れ解散”です。安倍首相は野党の足並みが乱れ、今ならそこそこの数は確保できると踏んだのでしょう。事実、安倍首相は周辺に『自公与党で過半数(233)はいける』と漏らしていると聞いています。
『安倍の安倍による安倍のための解散選挙』、もっと言えば、大義なき個利個略選挙です。党内からも批判の声が噴出しているほどです」
選挙をしのいで、さらに4年間の安倍体制を敷く。その最大の狙いは、悲願の「憲法改正」のためだという。
「安倍首相は『総理大臣として初めて憲法を変えた』という歴史に残るレガシー(遺産)が欲しい。自衛隊の存在を憲法に明記し、『国軍創設の父』になりたいわけです。
今回の選挙で、戦争をいつでもできるレールを敷かせるか否かの、戦後最も重い局面を迎えたといえます。この国の将来を左右するのは安倍自民党が頼みにする女性層の投票行動です。今回ほど女性の一票が大事な選挙はありません」(野上さん)
※女性セブン2017年10月12日号