安倍政権は今回の解散総選挙の“大義”として、「消費増税分を教育無償化に回す」などと言い出しているが、本当の目的は悲願である憲法改正の実現にあるとみて間違いない。
今年5月の憲法記念日に安倍晋三・首相は突然、「2020年に新憲法施行」と宣言したものの、直後から加計スキャンダルで支持率は急落。それが北朝鮮ミサイル危機と野党の敵失で上向き、“夢よ、もう一度”とばかりに解散に踏み切った。政治アナリスト・伊藤惇夫氏はこうみる。
「安保法制の時と同様に、選挙の時には本当の目的を前面に出さず、改憲勢力で3分の2を取ることができれば、来年1月からの通常国会で発議に踏み切るつもりでしょう。逆に、改憲発議の見通しが立たなければ安倍退陣につながってくると考えられる」
では、改憲案を国民投票にかける発議のために必要な、「改憲勢力で3分の2」が勝敗ラインとなると考えるとどうなるか。
定数10減で465議席を各党が争う次の総選挙では「3分の2」は310議席。現下の情勢分析だと、自民以外の改憲勢力として「公明が30~35議席、維新が約10議席。未知数だが、民進党を離党した細野豪志・元環境相のグループを加えた小池新党も改憲には前向きで、10議席以上は取ってくるだろう」(選挙プランナー)とみられている。つまり、計算上は自民党が現有議席から約40減らして250議席程度にとどまったとしても、「改憲勢力で3分の2」は保持される。
だとすれば「総理再選=第4次安倍内閣成立」を阻止するのは非常に難しく見えるが、そう単純な話でもない。