ライフ

炭水化物偏重は危険 しっかり食べて筋肉維持が糖尿病予防に

高齢者の糖尿病患者が急増(写真/アフロ)

 健診結果で血糖値が気になるのは、高血糖が続くと糖尿病に至るといわれるからだ。悪化すれば生活の質に大きく影響し、脳梗塞や認知症のリスクも高めるという。

 中高年にはカロリー制限や運動などの予防策が提唱されるが、高齢者は少し視点を変えた血糖値・糖尿病対策が重要だという。国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター長の大杉満さんに聞いた。

「血糖値とは血液中のブドウ糖の量のこと。食事をすると一時的に血糖値が上がりますが、膵臓から出るインスリンの働きで、筋肉や臓器、脂肪細胞などにエネルギーとして取り込まれ、血糖値が下がる。インスリンがうまく働かず、処理しきれない血糖が増えると高血糖になり、これを長く放置すると糖尿病に至ります。

 中高年の場合は食べすぎや運動不足が主な原因なので、“高血糖・糖尿病=肥満”の印象がありますが、加齢でもインスリンの働きは悪くなるため、高血糖や糖尿病の高齢者は肥満とは限らず、体重にも反映されにくいのです」

 今、日本の糖尿病患者は増加の一途。中でも増加率が高いのが高齢者だという。

「高齢者の高血糖の一因は、炭水化物など糖質に偏った食事です。代表格のご飯、麺類、パンは軟らかくて食べやすいため、これらだけで手軽にすませてしまいがち。するとたんぱく質や脂質が不足して筋肉とその活動量が減り、血糖が消費されず血糖値を上げることになるのです」

◆高齢者が注意すべきは高血糖と低血糖

 では、血糖値はとにかく下げればよいのかというと、そう単純ではないらしい。

「高齢者の場合は、低血糖も危険なのです。低血糖になると、脳が働かなくなってボーっとしたり、動悸や震えなどが出たりすることも。しかし高齢者にはこれらの症状が出にくく、気づかないことも多いのです。低血糖を頻繁に起こすと転倒や骨折、心筋梗塞、脳梗塞、認知症のリスク、そして死亡率が高まることもわかっています」

 低血糖は、過剰な糖尿病治療で血糖値が下がりすぎて発症することもあるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン