さつまいもはヒルガオ科の植物の肥大した根の部分で、「甘藷」(かんしょ)とも呼ばれる。原産地は中米だが、日本へは江戸時代に中国を経由して琉球へ伝わり、その後1700年代初めに薩摩藩が栽培を始めた。食用のほか、焼酎も盛んに造られるようになり、各家庭でもいも焼酎が造られていたという。
1732年の享保の大飢饉が西日本を襲った際、注目を集めることになったさつまいもが江戸幕府の目にとまって江戸に広まり、そこから全国区の野菜となった。
さつまいもの主成分は炭水化物で、エネルギー源となる成分の大部分はでんぷんだが、甘み成分のしょ糖も含む。このほか、ビタミンC、食物繊維、カリウム、アントシアニンなど栄養満点。また、さつまいもを切ると断面から滲み出るミルク状の白い液体はヤラピンで、古くから緩下剤の効果で知られている。食物繊維との相乗効果で便秘の改善効果が期待できる。
家庭料理研究家の松田美智子さんはこう話す。
「さつまいものほっくりとした甘みは、やはりシンプルに味わうのがいちばん。隠し砂糖で水分を引き出しつつ甘みを増幅させ、さつまいもの栄養をおいしくお楽しみください」
【さつまいもの準備】
さつまいもは、皮の色がきれいでなめらかなものを選ぶ。ひげ根が生えているものは繊維が多く筋張っている場合が多いので避けること。店頭に並んでいたものは乾燥が進んでいる。買ってきたらまずは“水分補給“を。ボウルに両端を切ったさつまいもを入れ、キッチンペーパーを全体にかけて薄い塩水を張り、そのまま30分ほど置く。水がしっかりと実にまわり、みずみずしさが甦る。
■大学いものレシピ
【1】さつまいも1本(約300g)は【準備】を参照して薄い塩水に漬け、皮をむいてひと口大の乱切りにする。水気を押さえておく。
【2】中温に熱した揚げ油で【1】を竹串がスッと通るまで揚げ、キッチンペーパーで油を切る。
【3】フライパン等に水1/2カップとグラニュー糖大さじ2を入れて中火でグラニュー糖を溶かし、少し香ばしさが出てきたら、【2】を加えて蜜を絡める。火をとめ、黒ごま大さじ1をふって合わせる。
撮影/鍋島徳恭
※女性セブン2017年10月12日号