小池百合子・東京都知事が代表となった「希望の党」設立と、事実上の民進党の解党・希望の党への合流により、自民党選対幹部は「パールハーバーだと思って浮かれていたら違った。これはもうミッドウェーだ」と焦りを隠さない。民進党では選挙に強い前原誠司代表ら一部の幹部は無所属で出馬するが、大半の議員や元職、新人は希望の党に“転籍”して選挙を戦うことになりそうだ。
「どんな手を使っても安倍政権を終わらせる」という前原氏の奇策には批判も多いが、選挙戦に与えたインパクトは絶大だ。小池都知事側近のブレーンが語る。
「我々の弱点はタマ(候補者)とカネ(選挙資金)だ。結党したばかりで政党交付金もないから、それが候補者募集のネックとなっていた。その点、民進党には選挙を経験した候補者がたくさんいるし、連合という選挙組織もある。何より、民進党にはカネがある」
実は民進党は「金満政党」だ。2012年に下野して議席は激減したが、選挙や党運営で議員や候補者にほとんどカネを配らないケチケチ路線で、前回総選挙後の2015年時点で党の金庫に約140億円の繰越金がある。自民党の112億円(同年)よりはるかに多い。民進党中堅が語る。
「解散間近に行なわれた前原・小池会談で、民進党は金庫を“開放”して希望の党から出馬する候補者にも選挙資金をたっぷり配分する方針でまとまったようだ。無所属で出る者は自身の選挙資金に充てるが、希望の公認を受ける者はそれが小池新党への事実上の“持参金”になる」
希望の党は労せずして候補者と資金の弱点を補い、一方で民進党所属の候補者は喉から手が出るほど欲しい“小池印”をポスターに載せられるという取引なのだ。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号