住宅密集地や集合住宅に住む場合、気にしなくてはいけないのが騒音の問題。生活している以上、ある程度の騒音が発生するのは仕方がないが、風鈴を5個ぶら下げたことは、“受忍限度”を超えた騒音になるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
先日、騒音問題で隣人同士が争う事件が起きました。なんでも騒動の発端は引っ越してきた住人が風鈴を5個ぶら下げていたのが“うるさい”ということだったそうです。しかし、風鈴を5個鳴らしたくらいで騒音になるかは疑問ですし、最近の受忍できない騒音とは、どのくらいの音量を指すのでしょう。
【回答】
風鈴は風流ですが、音量がすぎると騒音になります。騒音規制法は工場の騒音、建設工事の騒音、自動車騒音の許容限度を定めるもので、飲食店やカラオケ店などの騒音も規制対象です。しかし、経済活動と関係のない、いわゆる生活騒音については規制する法律がありません。とはいえ社会生活の中で、互いに受忍できる限度を超えれば不法行為になり、騒音を発生する行為の差し止めや慰謝料の支払いを命じられる場合もあります。
音量がどれくらいで受忍限度を超えるかは一概にいえません。発生音量だけでなく、苦痛に感じる人の到達したときの音量が問題です。したがって隣家との距離や、その間の障壁の有無、その種類で違ってきます。