小池百合子・東京都知事による「リセット」の効果が最も劇的に現われるのが首都・東京である。10月22日に投開票される総選挙が「安倍自民vs希望の党」の構図となるなか、7月都議選の余韻が色濃く残る東京の選挙区情勢は、一変した。
小池氏が知事就任以来、“古い都政”の象徴と位置づけてきた石原慎太郎・元知事。その三男・宏高氏の東京3区(品川区・大田区など)で小池旋風が吹き荒れている。地元区議がいう。
「“追い風”だった過去2回の選挙でさえ、宏高氏は僅差の当選だった。今回は逆風の上に、対抗馬の松原仁氏は真っ先に民進を離れて、希望の党結党メンバーに加わっている。
勝負勘に長けた小池氏のことだから当然、“石原家の三男”をターゲットに、重点選挙区として自ら応援に乗り出してくる。石原家から落選者となれば、1議席に止まらないインパクトになる」
この3区以外でも、東京選出の自民党議員にはまさに想定外の展開となった。9月上旬に自民党が行なった情勢調査では、公明党の太田昭宏・元代表の東京12区を除く24選挙区のうち20選挙区で議席獲得という結果だったが、“前提”が大きく変わってしまった。
「小池知事が新党の代表として自ら先頭に立って野党がここまでまとまるなんて、全く計算に入っていなかった。政権批判票の『受け皿』ができたことで、“都議選の悪夢”が甦っている」(自民都連関係者)
7月の都議選で自民は57あった議席を23に激減させる歴史的大惨敗を喫した。それにより、「総選挙で集票の“手足”となるはずだった都議たちが大量落選。組織選挙がどこまで機能するか不安視されていた」(同前)という状況下での小池氏の本格参戦だから、慌てるのも無理はない。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号