国連総会で「必要なのは対話ではない、圧力だ」と断言し、選挙でも「国難突破解散」と対北朝鮮を前面に押し出す安倍晋三首相。強気の発言を支えるのは、“自分にはトランプ大統領という強い味方がいる”との安心感だろう。しかし、かつて訪朝して金日成と会談したことがあるジミー・カーター元大統領が現在の状況を見て、「私が大統領だったら平壌に行くか、最側近を今すぐ派遣する」とジョージア州・アトランタにおける講演で述べ、この説がアメリカでは否定的に扱われていないことから、にわかに「トランプ電撃訪朝」へ向けた動きが見え始めた。
カーター提言とは別のところでも、電撃訪朝を密かにお膳立てするような動きが進んでいた。
今年に入って元米政府高官らが米朝間の「非公式協議」の存在を明らかにしてきたが、その中に「重要な意味を持つ会合があった」とトランプ政権高官とのパイプを持つ、国際政治評論家の板垣英憲氏が話す。
「昨年11月17~19日の3日間、スイスのジュネーブで米朝の秘密会合が開かれました。米国側の出席者は国務省のロバート・アインホーン元調整官、ジョエル・ウィット元北朝鮮担当官という対北朝鮮外交のスペシャリスト2人。一方の北朝鮮側は崔善姫・外務省米州局長と張日勲・国連次席大使で、こちらは金正恩の最側近2人。
会談の最大の目的は、『米朝国交正常化・国交樹立・平和友好条約締結』の実現に向けた交渉だったと聞いています。この会談をセットしたのがヘンリー・キッシンジャー氏でした」