おかっぱ頭に黒縁メガネがトレードマークの大木凡人氏(72)が大動脈解離に襲われたのは、2015年1月のこと。
「自宅のトイレから立ち上がった瞬間、体中が引き裂かれるような痛みが走りました。“バリバリバリーッ!”と音が鳴ったかと思うほど。生まれて初めて『ギャー!』と叫び声を上げました。朦朧とする意識の中で、なんとか119番に電話をかけることができた」
搬送後、すぐに緊急手術へ。心臓すぐそばの大動脈が60センチにわたって裂けていた。手術が施されたものの、大木氏の弟は医師から「2週間以内に亡くなる」と告げられたという。だが手術から3日間の危篤状態を経て、大木氏は奇跡的に意識を取り戻した。
「医師は『信じられない』と驚いていました。そりゃそうでしょう、大動脈がほぼすべて裂けていたんですから。でも、1週間も経てば、もう元気そのもの。ICU(集中治療室)を脱走して食堂でカレーを食べたり、病室のカメラに向かってパンツを降ろしてポーズを取ったり。医師が『あなたは史上最低の患者です』と呆れていました(笑い)」
その不真面目さは退院しても変わらない。医師に誓った「断酒」も三日坊主となった。
「退院4日目に足が勝手に居酒屋に向かってました(笑い)。医師からは『せめて週2回休肝日を』と指示されたけど、酒を飲まないほうがストレスになる。量は減らしたけど、今も週6日、4~5軒のハシゴ酒ですね」