北京大学などがまとめた最新の報告によると、2030年に中国の小学生以上の児童の4分の1が肥満または太りすぎになり、その数は5000万人にも達することが明らかになった。1985年の肥満児童数は615万人だったので、2030年にはその8倍以上に急増していることになる。この結果、児童が成人した際に、慢性化した生活習慣病を抱え、中国自体が「病気大国」になる可能性が強いという。ニュースサイト「中国ネット」が報じた。
肥満児童急増の大きな原因は中国の「一人っ子政策」による甘やかしや、カロリー過多の食生活への急激な変化、さらに運動の減少などが挙げられる。この結果、7歳以上の児童の太りすぎ・肥満の比率は2030年には5000万人と児童数全体の28%に達する。ちなみに、日本における肥満児童の割合はここ数年10%で横ばいの状態。
中国では農村部における1985年の肥満児童の比率は全体のわずか1%だったにもかかわらず、それが2014年には男児で17%、女児で9%に増加。さらに、2016年には中国全体における肥満児童の男女比では、男児が23%、女児が14%となっており、農村部より都市部での肥満児童の増加が著しくなっている。いずれにしても、肥満児童の増加自体が、風邪の流行のような、一種の社会的な流行病となっていることを示している。
このような肥満児童の増加に伴い、中国政府が今後、医療サービスの拡充の必要性に直面することは確実だ。
肥満児童が成人となった際、太りすぎや肥満による成人の慢性病が経済にもたらす負担は2002年の211億1000万元(約3588億円)から、少なく見積もっても2倍以上の490億元に増加する見通しだ。これはあくまでも、肥満や太りすぎが原因の病気に限られるが、肥満などが直接の原因ではない、がんや精神的病などの副次的な病気を加えると、一気にその5倍以上に跳ね上がる可能性がある。