中国の治安維持部門トップ、孟建柱・中国共産党政法委員会書記(党政治局員)はAI(人工知能)をテロの予測や犯人の割り出しなどに積極的に活用することを明らかにした。国家としてAIを治安維持強化に本格的に利用すると表明したのは中国が世界で初めて。
その予算として、中国政府は2020年までに1500億元(約2兆5500億円)、2025年までに4000億元(約6兆8000億円)を投入する計画で、すでに過去に起きたテロの情報やテロリストの個人情報などを部分的に入力するなど、その準備を進めている。党機関紙「人民日報」など中国メディアが報じた。
孟氏は9月19日、北京で開催された「全国社会治安維持総合大会」の表彰式に出席し、「AIは人類が真似できないような正確さで、極めて短時間で仕事を完成させることができる。AIを利用して、治安維持のために利用し、事件の解決に貢献させることが重要だ」などと指摘し、治安維持強化のために今後AIの積極活用を表明した。
孟氏は8月下旬、5日間にわたって、新疆ウイグル自治区を視察し、テロの現場の第一線にいる党幹部や政法部門や警察幹部などと協議し、今後は情報技術を駆使して、AIやビッグデータを使って、テロ撲滅や治安維持のために情報化、知能化の水準を高めなければならないと指摘している。
中国では2013年10月28日昼、北京市中心部の天安門広場周辺で、自動車が歩道に突入し、自動車の運転手を含む計5人が死亡したほか、日本人1人を含む38人の歩行者が負傷した事件が発生。車には爆発物や石油などが積まれており、あわや大爆発により多数の犠牲者が出た可能性もあったとみられる。
また、2014年3月1日夜、雲南省昆明市の昆明駅広場や乗車券販売所などで、刃物を持った集団8人が通行人らを無差別に襲撃し、警察官5人を含む34人が殺害されたほか、市民ら143人が負傷するテロ事件も起こっている。犯人は4人が射殺され、他の4人のうち3人が死刑、1人が無期懲役刑の判決を受けている。