投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が10月10日~10月13日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は底堅い動きとなりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が前回9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で示した金利正常化に前向きな姿勢は、11日に公表される議事要旨で改めて材料視されそうだ。企業景況感の改善などを背景に年内追加利上げ期待はさらに高まる見通し。
2日に発表された9月ISM製造業景気指数など、足元の米経済指標は堅調な内容が目立ち、金利正常化をにらんだ米長期金利の上昇がドル買いを促すとみられる。特に、13日発表の9月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+1.8%で8月実績の同比1.7%をやや上回ると予想されている。全体の指数は前年比+2.3%で8月実績の+1.9%を上回る公算が大きい。市場予想と一致した場合、年内追加利上げを期待したドル買いが強まる展開となりそうだ。
ただし、ユーロの値動きに影響を受ける可能性がある。ドイツやスペインの政治情勢の不透明感からユーロは買いづらいものの、欧州中央銀行(ECB)による債券購入プログラム縮小への期待は残されている。ECBの金融緩和策縮小を意識してユーロ買い・米ドル売りが優勢となる場面では米ドル売り・円買いのフローが増えるケースも想定したい。
一方、今月22日投開票の日本の衆院選は10日に公示され、選挙戦に入る。希望の党の小池百合子東京都知事は、自身の出馬を重ねて否定したが、市場関係者の間では「選挙結果次第希望の党は自・公と連携する可能性がある」との見方が広がっている。党派の異なる勢力が加わることで、自・公政権の安定性は維持できないとの見方はあるものの、株式市場が好感すれば「アベノミクス」の維持を期待した円売りは継続する可能性がある。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(11日公表予定)
FRBは11日に9月19-20日に開催したFOMCの議事要旨を公表する。この会合後の声明で、FRBは金利正常化に向け、今年と来年の利上げ回数を3回との見通しを堅持。議事要旨は年内追加利上げの妥当性を示す内容とみられている。
【米・9月消費者物価指数(CPI)】(13日発表予定)
13日発表の9月CPIは前年比+2.3%と、8月の+1.9%を上回る見込み。同コア指数は同+1.8%と前月の+1.7%を上回る見込み。市場予想と一致すれば、インフレ鈍化の懸念は後退し、年内追加利上げ期待はさらに強まるとみられる。
・10月9日-13日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。