次の総選挙には、「政治とカネ」疑惑や下半身スキャンダルで役職を辞任し、あるいは離党した政治家の多くが性懲りもなく総選挙に出馬しようとしている。禊は済んだと言えるのか──。
彼らに問われている政治家の資質は、保身を優先して国政を蔑ろにした責任だ。
「政策通」の評価が高かった甘利明・元経済再生相は、口利きを依頼にきた業者から「大臣室で50万円のキャッシュ」を自ら受け取った問題が発覚すると、“秘書がやった”と涙の会見で大臣を辞任した後、「調査する」と言ったまま姿をくらました。今になって、〈私自身が何か問題を起こして大臣を辞任したわけではありません〉とブログで“無実”を主張するという厚顔ぶりだ。
パンツ泥棒疑惑がかかった高木毅・元復興相は最後まで辞任せず、国会をいたずらに混乱させた。説明責任を果たさないという点では、“不倫釈明会”で一切の質問を拒否した山尾志桜里氏も同じメンタリティに見える。
そうした安倍政権下で進む政治家たちのモラルハザードは、ついに金権政治を復活させた。
いまや国土強靭化の旗振り役、二階俊博・幹事長には業者の陳情が集中し、「全盛期の田中角栄先生や金丸先生の権勢ぶりを見るようだ」(額賀派議員)と言われているし、8月の茨城県知事選では、梶山弘志・地方創生相が会長を務める自民党県連が所属県議に総額約6000万円近い実弾(現金)を配ったと見られ、近来まれに見る金権選挙が展開されたともっぱらだった。
彼らに共通するのは、強い後援会組織を持ち、“何をしても自分は当選する”という驕りである。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号