高度経済成長期の1970年には1万軒以上の工場が存在していた東京都墨田区は、江戸時代から続く、ものづくりの街。その後、バブル経済の崩壊などで減少したものの、今でも約2800の工場が存在している。
主な産業は、市松人形や江戸切子などの伝統工芸品から医療用はさみ、精密板金加工、キッチングッズなど多岐にわたり、現在は「ものづくりコラボレーション」と題して、世界で活躍するクリエーターと組んで、21世紀らしい特産品を生み出している。そもそもなぜ、墨田区で多くの技術が発展したのだろうか?
その理由を、墨田区産業振興課担当者は次のように説明する。
「1657年、江戸で起きた明暦の大火後、墨田区南部(両国付近)は武家屋敷の移転先となりました。それに伴い職人や商人も移り住み、日用品の製造販売を始めたのです。そのため今でも日用品関連の工場が多く存在しています」
加えて、墨田区は豚革の一大産地。革製品を作る際に出る動物性油脂で石鹸が作られるようになり、現在も大手石鹸メーカーの本社や工場、研究所が軒を連ねる。
「工場の数こそ、23区内で3番目ですが、墨田区にはほかに、金型など、世界的な技術を支えている工場もたくさんあります。東京スカイツリーもありますし、2020年の東京五輪に向けて、さらに世界的な認知を産業技術で拡大していきたいと考え、そのひとつの手段として産業観光に特化したイベント『スミファ』を、年に1度行っています。普段、見ることができない工場で、職人から直接話を聞けるので、多くのかたが訪れています」(前出・担当者)
スミファは毎年11月末の土日に開催。今年は11月25~26日開催予定で、参加費は無料(一部ワークショップは有料)。
※女性セブン2017年10月19日号