最後の放送から15年が経っても、いまだに北海道・富良野のロケ地には数多くのファンが足を運ぶ。『北の国から』の続編への期待が膨らむ陰で、独特な演技で人々を魅了した「五郎さん」も復帰に向けた道を着々と進んでいた。
《灯は小さくても いつも暖かい。 “北の国から”》
横浜市内のとある飲食店の壁に、そう力強く書かれた少し日焼けした1枚のサイン色紙が飾られている。日付は「2007年春」。綴ったのは田中邦衛(84才)だ。
表舞台から姿を消して7年、老人ホームでの闘病生活2年。田中は今、自宅で必死にリハビリにはげんでいるという。
主演の石坂浩二(76才)の脇を固めたのは、元妻・浅丘ルリ子(77才)と、元恋人・加賀まりこ(73才)。八千草薫(86才)やミッキー・カーチス(79才)、藤竜也(76才)といった往年の大スターが顔を揃え、野際陽子さん(享年81)の遺作となった。9月29日、話題をさらった『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)が最終回を迎えた。
「ドラマの放送が終わったらガクッときて、“やすらぎの郷ロス”になるんじゃないかな」
脚本を担当した倉本聰さん(82才)は、本誌・女性セブンのインタビューにそう答えていた。だが倉本さんには、すでに多くのファンから次回作への期待が寄せられている。
それは国民的ドラマとして親しまれた『北の国から』(フジテレビ系)の続編だ。
1981年から翌1982年にかけて連続ドラマとして放送され、1983年から2002年までに8本のスペシャル版が制作された同ドラマは、田中演じる黒板五郎が、純(吉岡秀隆・47才)と蛍(中嶋朋子・46才)を連れて生まれ故郷の北海道・富良野に帰ってくるところから物語が始まる。北海道の厳しい大自然の中で家族3人で懸命に生きる様子と、小学4年生だった純と2年生だった蛍の成長物語としても人気を博し、スペシャル版は常に視聴率20%超えを記録した。
列車の窓から手を振る母・令子(いしだあゆみ・69才)を追って川縁を走る蛍。五郎が1人で作り上げた丸太小屋の焼失。岩城滉一(66才)演じる草太兄ちゃんの事故死──挙げたらキリがないほどの名場面に彩られた同ドラマには、しかし、2002年の『遺言』を最後に続編は作られないままでいる。
「連ドラ当時から携わったスタッフの高齢化や、北海道での過酷な長期ロケと制作費の高騰などさまざまな事情から、『遺言』でシリーズに幕が下ろされたことになっています。ですが、倉本さんの頭の中には最終章の構想がしっかりとあるんです。『やすらぎの郷』を終えたこのタイミングであればもしかして…とファンだけでなくテレビ業界でも待望論が持ち上がっています」(芸能関係者)