「(希望の党が)政権を取ったら誰が首相になるんですかって。若狭(勝)さんだったら国民暴れちゃいますよ」
レギュラー出演する昼の情報番組『ひるおび!』(TBS系)で、衆院選出馬騒動で揺れる小池百合子都知事(65才)に対して、ユーモアを交えながら皮肉たっぷりに批判したのは、落語家の立川志らく(54才)だ。
『2017上半期テレビ番組出演本数ランキング』の「ブレイクタレント」部門で、見事1位に輝いた志らく。昨年同期の出演本数はたった6本だったが、今年は129本増と大躍進した。最近では『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)に出演し、巧みな話術でダウンタウン相手にも真っ向からわたりあうなど、今やバラエティー番組でも欠かせない人物となっている。
大ブレークの契機となったのは、冒頭でも紹介した『ひるおび!』にコメンテーターとして抜擢されたことだろう。番組関係者が振り返る。
「噺家らしい鋭い視点で世間の“アラ”を指摘しながら、最後にはきっちり笑いにつなげるコメント力が、メーン視聴者である主婦たちの心をがっちり掴みました。一時は低視聴率に苦しみ、ライバルの『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)に引き離されていましたが、浮上のきっかけとなりました。当初は月に1回出演の約束でしたが、今では月から金まで全曜日に出演していただいています」
コラムニストの辛酸なめ子さんは、“志らく株”沸騰の要因をこう分析する。
「インテリ評論家が言ったら炎上するような過激な発言も、志らくさんの“ゆるキャラ”のような風貌と柔和な語り口により、新鮮なコメントに聞こえるのです」
◆とにかく談志は売れてる人が好き
落語界では“立川流四天王”と称され、すでに盤石の地位を築く志らくが、54才にして突如、テレビに出始めたのはなぜなのか。そこには2011年11月に亡くなった師匠・立川談志(享年75)の死が深くかかわっている。
前述の『ダウンタウンなう』に出演した際、志らくはこんなことを語っている。
「私のマネジャーに談志が、『なんでお前は志らくをスターにできないんだ?』って言ったと知ったときに、あぁ、親不孝だな、と。とにかく談志は売れている人が好きなんですよ。爆笑(問題)の太田(光)くんとか(ビート)たけしさんもそうです。談志が死んだのをきっかけにテレビに出る方法はないかと」
談志の弟子といえば、兄弟子である立川志の輔(63才)、立川談春(51才)が、すでに司会業、俳優業と多岐にわたるジャンルで活躍している。だが、談志に「お前はおれに似ている」と言わしめた、志らくの名は落語ファン以外にはあまり知られていなかった。談志の“遺言”を知った志らくは、落語の世界から飛び出すことを決意したのだった。
※女性セブン2017年10月26日号