この解散・総選挙で日本の政治はまさに“何でもあり”になった。「国民に信を問う」といいながら、本心は「今なら勝てる」という党利党略で解散した安倍晋三首相も、自身は出馬せずに“高みの見物”を決め込む「希望の党」代表の小池百合子・東京都知事も、無責任ぶりでは甲乙つけがたい。
選挙戦がこれほど無節操なのだから、選挙後の政治は何が起きても不思議ではない。引退を表明した野党の重鎮・亀井静香氏はそれを「乱交パーティー政治が始まる」と嘆いた。かつて政策的には水と油だった自民党と社会党の村山連立内閣を誕生させた“元祖・何でもあり”の政治家にはこんな景色が見えている。
「政党には結党の理念、基本となる政策があって、選挙ではそれを有権者に問うものだ。選挙の結果、数が足りないときは、理念が違う相手と連立を組まなければならないときもある。それが現実政治だ。
しかし、今回の総選挙は本質的に違う。各党、各候補者が選挙の時から当選するためだけに理念も論理も倫理もかなぐり捨てて、口先だけ他党と違う公約を並べている。“原発ゼロだけど電力供給の安定のために再稼働は認める”とか、わけがわからない。こんな選挙で当選した議員たちは、あとはどうにでもなると考える。選挙後は政党の野合どころか、一丸となって戦ったはずの政党が分裂し、議員個人が権力のために組んず解れつ、節操も見境もなく誰とでも寝る政治になっていく」
選挙後、この国の政界はどんな乱倫を迎えるのか──。
※週刊ポスト2017年10月27日号