3年連続で優勝を逃した巨人。今オフには、サードのレギュラーであるベテランの村田修一を自由契約に。来季は若手を育成すると鹿取義隆ゼネラルマネージャーが明言しているが、となれば、気になるのはチームを背負ってきた大黒柱である阿部慎之助の存在だ。野球担当記者が話す。
「今年の村田は、サード・マギー、ファースト・阿部の布陣のため、開幕から3ヶ月間はほぼベンチを温めていた。それでも、本塁打14本、58打点の結果を残した。一方、シーズン通してレギュラー扱いだった阿部は、本塁打15本、76打点。打席数は阿倍の512に対し、村田は424と88も違う。阿部ではなく、村田を中心に据えた方が結果を残したと思います。
結局、高橋由伸監督は現役時代からの“盟友”である阿部を切れなかった。今年、阿部が出続けた理由の1つに、2000本安打があった。だが、記録のために1人の選手を使い続けるのか。巨人は常勝チームを目指しているはずなのに、阿部だけがなぜこれほどまでに重宝されるのかわからない」(以下同)
2014年オフ、阿部は捕手からファーストにコンバートされた。それに伴い、同じポジションのロペスが自由契約となり、DeNAへ。チームの勝利よりも、まず阿部の処遇を考えた人事だったように思えた。巨人は2015年シーズンを31歳のロペスではなく、36歳の阿部を選択した。これまでの貢献度を考慮したのか、脂の乗ってくる中堅ではなく、晩年を迎えようとする選手を軸に据えると決断したわけだ。
ロペスはDeNA移籍初年度の2015年からクリーンアップの一角としてチームに貢献し、今年は打率3割1厘、34本塁打、105打点と爆発。初のタイトルとなる打点王を獲得し、チームを2年連続クライマックスシリーズ進出に導いた。対照的に、ロペスより阿部を選択した巨人は以降、3年間優勝から遠ざかっている。阿部のホームランも15本、12本、15本と4番を任せる数字とは言い難かった。
「ロペスは真面目な性格。たとえば、足は遅いけど1塁までの全力疾走を欠かさない。必死にプレーしている姿がチームメイトにも伝わってくる。阿部は足の古傷もあるとはいえ、全力疾走に程遠い走りしか見せない。塁に出ても、リードをほとんど取らない。そういう選手が4番では、チームの士気に関わってくる」
もし巨人が阿部ではなく、ロペスを選択していたら、少なくとも今年の3位は逆転していただろう。
「巨人はFAや外国人に頼ってばかりの体質なのに、今回の村田放出が象徴するように外様には冷たい。一方で、生え抜きの阿部を優遇している。そうかと思えば、現役続行を希望していた高橋由伸を監督にするために外堀を埋めるようなこともする。チーム方針に一貫性がないんです。阿部は今年の数字(2割6分2厘、15本、76打点)なら、捕手であれば及第点と言えますが、4番がこの数字では優勝できない」
7度優勝した原辰徳監督の政権下において、阿部は大きな貢献をした。だが、ここ4年間の数字を見れば、4番を張るような成績でないことは明らか。来季、39歳を迎える阿部が打てなかった時、高橋監督がどう判断するか。巨人の命運も高橋監督の行く末も、阿部が握っていると言って過言ではないだろう。