街の書店が経営難で次々に姿を消す昨今、東京の新宿歌舞伎町に“愛”をテーマにした書店が10月7日、オープンした。働くのは、現役ホストをはじめとした、読書好きな若者たち。歌舞伎町のど真ん中で、高級酒より価値のある“愛”の本が見つかる書店の狙いとその実態を探った。
日本一の歓楽街・歌舞伎町。夜のイメージが強いネオン街も、朝になると雰囲気は一変、意外なほど閑静だ。その一角に、“ホスト書店員”が接客する、史上初の書店がある。開放的な店内へ足を踏み入れると、「どんな“愛”をお探しですか?」と、ホスト書店員が声をかけてくる。
「愛をテーマにしたのは、やっぱり歌舞伎町にはさまざまな愛があふれているから。でも、愛のプロフェッショナルだと思われているホストやホステスたちも、裏ではだましだまされ、愛の迷路に迷い込んでいる。本当の愛を求めて、みんな歌舞伎町に集まり、お酒を飲むんです。ここにはラブ以外何もないので、恥ずかしがらずにお好みの愛の本を探してください」(オーナーでホストクラブ経営者の手塚マキさん)
現役ホストを含む書店員たちが、1対1で会話をしながら本を選んでくれるのが同店の特徴。今後はさらに、ホスト書店員が本を運んでくれるサービスや、客の方からホスト書店員に本を買い与え、ホスト書店員を成長させるシステムなど、ホストならではのさまざまな仕掛けが予定されている。
「本を読んでいないホストがいたら、シャンパンを開ける感覚で、お客様からホスト書店員にプレゼントしていただいたり。一冊の本でそういった自由なコミュニケーションをとっていただくのが、この書店の理想です」(書店のプロデューサーで編集者の草なぎ洋平さん)
ホストのホストによる愛のための書店。指名の一冊が必ず見つかるはずだ。
撮影/石井祐輔
※女性セブン2017年10月26日号