ビジネス

故・西室泰三氏 異色の経歴ながら東芝でなぜ力を持てたのか

日本郵政社長時代も東芝に影響力を持ち続けた

 東芝の社長・会長を務めた西室泰三氏が81歳で亡くなった。

 西室氏は東芝会長を降りたあとも、東京証券取引所会長(一時社長を兼務)、日本郵政社長を務めるなど、常に経営の第一線に座り続けただけでなく、古巣の東芝に対しても影響力を発揮し続けた。

 なぜそれほどまでに力を持ったかというと、ひとえにその交渉力にある。

 西室氏は東芝では異色の社長だった。かつて東芝の社長になる条件は東大卒、重電出身というものだった。歴代社長のほとんどがこの条件に当てはまった。しかし西室氏は慶応大学経済学部出身で、電子部品の営業畑を歩んできた。

 それが社長の椅子を射止めたのは、DVDの規格争いでソニーを破るという大金星を挙げたからだ。

 1990年代初頭、ビデオカセットに代わりDVDの時代が到来した。しかし当初はソニー・フィリップ陣営と東芝・松下・日立陣営が規格を巡り真っ二つに割れていた。CDで実績のあるソニーは自信満々だったが、勝利したのは東芝陣営だった。

 規格争いの始まる前、米国東芝会長だった西室氏は米映画大手タイム・ワーナーへ出資した。これでハリウッドに知己を得た西室氏は、DVDの規格争いでこのネットワークを最大限活用し、ハリウッドを味方につけることに成功する。これが決め手となって、DVDの規格が決まった。

「野武士の日立、公家の東芝」と言われたように、東芝はよくも悪くもおっとりとした性格だ。その中にあってハリウッドとの交渉をまとめ、ソニーとの対決に勝利した西室氏の交渉力・行動力は際立っていた。

 当時の東芝は「集中と選択」により事業構造の大幅変革に取り組んでいるところだった。その東芝にとって、過去の経営者にないバイタリティを持つ西室氏は輝いて見えた。それが異色の経歴を持つ社長誕生へとつながった。

関連記事

トピックス

不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
多忙の中、子育てに向き合っている城島
《幸せ姿》TOKIO城島茂(54)が街中で見せたリーダーでも社長でもない“パパとしての顔”と、自宅で「嫁」「姑」と立ち向かう“困難”
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン