自民党が事前の予想を覆し大勝した今回の解散総選挙。自民党から見ると、“最大の功労者”は小池百合子・希望の党代表と前原誠司・民進党代表だろう。自民党幹部はこう言ってはばからない。
「小池と前原には足を向けて寝られない。負け戦を勝つことができただけではない。最大野党の民進党を解体して野党連合を破壊し、再び自民党長期政権の道筋をつけてくれた。立憲民主がいくら議席を増やしても、左派政党は国民の広い支持を集めることはできないから恐くない。功労者の小池と前原の2人なら喜んで自民党に迎え入れてもいい」
小池、前原両氏の自民党入りとなれば、国民は今後、新党や政界再編に一切希望が持てなくなるという自民党にとって好都合な“追加効果”もある。
この四半世紀、政界では新党が次々に登場しては消え、政治家の離合集散が相次ぎ、安定とはほど遠い状況だった。だが、そこには曲がりなりにも、時の政権が国の舵取りを誤り、あるいは国民を裏切れば有権者の一票でNOを突きつけ、交代させることができる選挙の緊張があった。
しかし、今回の総選挙前に国民が期待した政治の変化への「希望」は、選挙中「失望」へと変わり、そして選挙後に姿を現わすのは、もはや主権者の選択も政権への歯止めもきかない「絶望」の政治である。
この総選挙で日本の政治は間違いなく「リセット」され、四半世紀前に戻った。その立役者が、55年体制(注)を崩壊させた1993年総選挙で衆院初当選した小池、前原両氏だったというのは皮肉としか言いようがない。
【注:自民党とその半数の議席しかない社会党の2大政党中心の政治体制】
※週刊ポスト2017年11月3日号