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「国策」で思考停止した東芝のツケは大きい

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 東芝の元社長の西室泰三氏が死去していたことが11月18日に明らかになった。西室氏は1990年代に社長として実践した経営改革は評価されているものの、のちの経営危機の遠因をつくったと言われている。国策に寄り添うことで、厳しすぎる現実に直面してしまった東芝について、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が振り返る。

 * * *
 衆議院解散の前日、東京都内で講演会があった。小泉純一郎元首相が演者とあって、ぼくも聞きに行った。会場には多くのマスコミも来ていた。小池百合子・東京都知事が突然、立ち上げた「希望の党」に加わるかどうか関心が集まったが、小泉元首相は即座に否定した。

「現在、やりたいことは原発ゼロだけ」という小泉元首相は、福島原発事故が起きたときに、原発ゼロという方針に切り替えるべきだった、と語った。

 そして、会場からの質問に答えて、こんな発言もあった。

「原発輸出なんてとんでもない。原発事故が起きたら、日本の輸出企業は大変な負担を強いられる。原発輸出による成長戦略なんて、国のためにも企業のためにもならない」

 この発言が、東芝のことを指すのは言うまでもない。原発輸出という「国策」に従った東芝は、いま崩壊寸前である。

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