写真で“Vサイン”をしているのは14日の箱根駅伝予選会で3位に入り、本戦出場を勝ち取った中央大の主将・舟津彰馬(2年)だ。
中央大は昨年、87回連続出場の史上最多記録が途切れる屈辱を味わっただけに、“復活”を喜ぶのは当然……と思いきや、実はこの写真、「ゴール後」ではなく、「スタート5分前」に撮影されたものなのだ。
カメラを構えていたのは陸上長距離専門ウェブメディア「EKIDEN NEWS」を主宰する西本武司氏である。西本氏は、「舟津主将のこの表情を見た瞬間、中央大の予選突破を確信しました」と熱く述懐する。
「縦一列に並んだチームの先頭で他の選手の状態を確認していた舟津主将が、スタートラインに向き直った瞬間でした。目が合うと、無言でニコッとVサイン。“伝統校復活”がかかった瀬戸際の場面で緊張に顔を強ばらせるのではなく、むしろ『やるべき準備はすべてやった』という自信にみなぎっていた。それがビンビンと伝わってきた」
舟津には苦難の1年だった。チーム再建のため、昨年7月に1年生ながら主将に抜擢されたが、昨季の予選会は敗退。OBやファンに囲まれた反省会で「この日のことを忘れるわけにはいかない!」と涙ながらに絶叫して再起を誓った。
本来は中距離(800m、1500m)専門の選手ながら、今季は長距離でもチームを牽引。今年6月の全日本大学駅伝関東地区予選(1万m走)では各校準エースが揃う3組のトップでゴール。さらに9月の日本インカレは本職の1500mで優勝した。