「ナマの日本美術を観に行こう」のコンセプトで始まった大人の修学旅行シリーズ。今回は、明治学院大学教授で美術史家の山下裕二氏(日本美術応援団長)引率のもと、タレントの壇蜜さんが、三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町)で開催中(~12月3日)の特別展「驚異の超絶技巧!~明治工芸から現代アートへ~」を訪れた。
2人は驚きの超絶技巧で再評価の機運が高まる明治工芸の作品と、そのDNAを引き継ぐ15人の現代作家の作品を堪能した。
壇蜜:あぁっ、こんなところに秋刀魚が。しかも食べかけ!
山下:ふふっ。ここ三井記念美術館のある三井本館は昭和初期に建てられた屈指の洋風建築として重要文化財にも指定され、この展示室はかつて役員の食堂として用いられていました。普段、この展示ケースには国宝級の作品が展示されています。そんな格調高い空間に食べかけの秋刀魚。至近で観て何か気付くことはありませんか。
壇蜜:頭と尾の先が少しだけお皿の縁に触れていますね。すごく繊細。
山下:実はこれ、一木(いちぼく)造りなんです。お皿も秋刀魚も、ひとつの木の塊から彫り出しているんですよ。
壇蜜:えぇっ!? この作品はもう事件ですね……。くっついているとなると、秋刀魚の裏側を彫るにはお皿とのわずかな隙間に合う、特別な道具が必要になるのでは。