この秋に始まった連続ドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)。適当で変わり者の刑事を演じるのは浅野忠信(43才)だ。映画の出演が多い浅野だが、今ドラマは「ハマり役」と高評価を得ている。浅野のような映画俳優がドラマに出演したときに成功するには、ある“条件”があるという。コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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映画や舞台には数多く出演するが、テレビの連続ドラマにはあまり出ない。そんな俳優がドラマに出ると、存在感がスクリーンサイズで、テレビではちょっと浮いて見えたりもする。そんな中、民放の連続ドラマ初主演という『刑事ゆがみ』の浅野忠信は「ついに安住の地を見つけた」という印象だ。
15歳のデビュー作は『3年B組金八先生』だった浅野だが、気がつけば映画の出演本数に比べ、ドラマは三分の一以下という圧倒的な映画寄りの俳優人生。『沈黙-サイレンス-』など海外作品の出演も数多く、日本アカデミー賞優秀主演男優賞はじめ受賞歴も数えるのが大変なくらいたくさんある。
その浅野が演じる刑事ゆがみこと、弓神適当(ゆがみゆきまさ)の捜査の方法は無茶苦茶だ。協力者のハッカー(山本美月)を使ってこっそりデータを集めるなど朝飯前。「目の前に閉ざされたものがあれば、つい開けたくなる」と関係者の引き出しのカギを勝手にこじ開けて「交換日記」を持ち出したり、予告なく相棒刑事の羽生(神木隆之介)の頭を花瓶でぶったたいて事件を「再現」したり。
おかげでゆがみにイラつく係長(稲森いずみ)からは思いっきり蹴飛ばされたりもする。強いんだか弱いんだかよくわからない。しかし、推理力と洞察力は抜群で、下着泥棒の隠し場所を突き止めた上、犯人が左利きで被害者がなぜ犯人をかばっているのか。被害者の心理まで読み取ってしまうのだ。