シーズンで2位の西武に13.5ゲーム差を付けて独走優勝を果たし、クライマックスシリーズ(以下、CS)でも楽天を退け、2年ぶりの日本シリーズ進出を決めたソフトバンク。CSで勝ち上がってきた3位の楽天は8月7勝18敗、9月9勝13敗と失速しており、ソフトバンクが圧倒的に有利と思われていたが、思わぬ苦戦も強いられた。第3戦でエース則本を打ち崩して流れを取り戻し、以降は3連勝で一気にCSを制したが、初戦からまさかの連敗、打線も2点、1点と沈黙していた。
ソフトバンクの意外な苦戦について、野球担当記者は「スコアボードの表示方法が打線に精神的にプレッシャーを与えたのではないか」と分析する。
「ヤフオクドームの場合、バックスクリーン上のオーロラビジョンにスタメンの横に打率、ホームラン、打点が絶えず表示されています。また、選手が打席に入ると、長打率や得点圏打率など細かい数字も大きく映し出される。打っていない選手にとって、余計なプレッシャーになる。試合中、嫌でも眼に入りますからね。特に短期決戦の場合、成績の良い選手にはプラスですが、泥沼にハマっている選手には精神的な面で悪影響を与えてしまう」
今年のCSでは、内川聖一が打率3割8分9厘に4試合連続ホームランと大活躍。一方で、今宮が2割1分1厘、デスパイネが1割7分6厘、明石が1割6分7厘と低打率に苦しんだ選手もいる。
「もちろん、それがすべてというわけではありません。たとえば、松田は2戦目までノーヒットでしたが、最終的には2割7分8厘と持ち直していますしね。だけど、意外と細かい所を気にする選手が多いのも事実。
全ての球場がヤフオクドームのような表示法ではありません。シーズン中の横浜スタジアムはDeNAで不調の選手が打席に入ると、『最近5試合の成績』や『対戦投手との成績』などの良い所を探し、高打率をスコアボードに並べます。選手の気分を考えれば、どちらが良いかは言わずもがなでしょう。
ヤフオクドームは、イニングの合間に行なわれる応援で係員やビールの売り子が一緒に今年のチームスローガンである『ワンダホー!』を叫ぶなど、球場全体がホークスを応援していることが伝わってきます。日本シリーズでは、スコアボードに良い数字を並べて、選手に良い気分で打席に入ってもらうようにすれば、よりホームアドバンテージが増すのではないでしょうか」(同前)