「ルールを守る人が、ルールを破る大人の暴走で犠牲になる。あまりに理不尽です。こんなことは、もう最後にしてほしい。せめて、この事故を一過性のものにしないよう、国民全体で議論を深めていくべきです」
真剣なまなざしでこう語るのは、風見しんご(55才)。2007年1月に長女のえみるちゃん(享年10)を突然の交通事故で亡くし、今年で10年の節目を迎えた。
先日、東名高速道路で発生した痛ましい死亡事故を受け、同じく交通事故の被害者遺族としての思いを本誌だけに明かしてくれた。
6月5日、神奈川県大井町を走る東名高速下り線で発生した追突事故は、あまりに理不尽なものだった。東京への家族旅行の帰り道。静岡市在住の自営業・萩山嘉久さん(享年45)は、同日の夜9時過ぎ、中井パーキングエリア(神奈川県足柄上郡)で、出口をふさぐように停車していたワンボックスカーに向かって注意した。すると、運転手が激昂。萩山さん一家の車を執拗に追跡して進路妨害を繰り返した上、“追い越し車線”に無理矢理停止させた。
直後、後方から大型トラックが一家の車に追突し、嘉久さんと妻の友香さん(享年39)が死亡。同乗していた長女(15才)と次女(11才)は軽傷で済んだが、一瞬にして両親を失ってしまった。
この事故で、直接追突したトラック運転手が過失運転致死傷罪で逮捕されたが、県警は捜査を続行。現場を通行していた260台以上の車を割り出して目撃情報とドライブレコーダーの映像を収集した。
結果、事故から4か月後の10月11日、萩山さん一家の車を妨害したワンボックスカーの運転手・石橋和歩容疑者(25才)を同罪で逮捕した。