外国人観光客が急増する中、10月13日から訪日客対象の“高速道路乗り放題パス”である「ジャパン・エクスプレスウェイ・パス」の販売が始まった。7日間で2万円、14日間で3万4000円という安さがポイントだが、それには「おもてなし過ぎではないか」「日本人にも乗り放題を認めるべきではないか」といった指摘が相次いでいる。というのも、受益者負担の点から見て不公平だという側面もあるからだ。
優遇は道路だけでない。日本人はあまり知らないが、外国人が「夢の切符」と重宝するのがJRの「ジャパン・レール・パス」だ。
これは、新幹線「のぞみ」と「みずほ」を除いたJR全線と一部の私鉄が乗り放題になるパス。短期滞在の外国人と、一定の条件を満たした国外居住の日本人が購入できる。基本的に国内では買えず、海外の代理店に申し込んで来日後にJR窓口で引き換える。
高速道路と同じく破格の値段設定で、7日間で2万9110円、最長の21日間で5万9350円だ。東京・大阪の新幹線普通料金は片道約1万4000円なので往復で元が取れる。
ただ、この「夢の切符」についてデメリットを指摘する声がある。鉄道ジャーナリストの川島令三氏が危惧するのは、いわゆる“カラ乗車”だ。
「乗車時間やコースの重複がなければ上限なく指定席券を発行できるので、外国人客が多くの指定席を押さえた末、別ルートを選び乗車しないケースが増えている。おかげで空席があっても座れず困ることも多い」