駅至近、宗派不問で永代供養料が1基50万円から──そんな謳い文句で人気を集めていた大阪の「マンション霊園」に思わぬ騒動が勃発した。
10月12日午前、大阪地検特捜部が、マンション型納骨堂「梅旧院光明殿」(大阪府浪速区)を運営する「光明殿」社長・山口幸子容疑者(63)の自宅である兵庫県芦屋市の“億ション”の一室に、家宅捜索に入った。この4年間で1億4300万円の法人税を脱税した疑いで、この日、山口容疑者を含む3人の関係者が逮捕された。お墓コンサルタント・吉川美津子氏が語る。
「許可を得ているのは寺院なので、仮に運営会社が倒産しても、墓地や納骨堂がなくなることまでは考えにくいでしょう。ただ、マンション型墓地のリスクとしては、お寺のほうの経営に問題が起きた時のほうが深刻だと考えられます」
2010年には、骨壺約5000基をコンピューター管理する自動搬送式納骨堂を建造した福井県の永宮寺が、契約者を集められず破産した。経営再建中の永宮寺の僧侶はこう説明する。
「破産したのは先代の住職の時で詳細はわかりませんが、納骨堂に遺骨を納めていただいた約60基のうち、40ほどはご遺族に骨壺や位牌をお返しできたけど、なかには受け取りに来ないご遺族もいたと聞いています」
そうした遺骨については、破産管財人が返還作業を引き継いだという。この僧侶は、行き場がなくなった遺骨が出た場合、「一般論としては、寺の宗派の本山と相談して、どこか別のお寺で弔わせていただくことになると思う」と話した。
建造に多額の資金が必要なだけに、こうしたトラブルは起こり得る。安価で利便性が高いマンション型墓地の思わぬ落とし穴だ。
※週刊ポスト2017年11月3日号