4歳の息子を連れた亜弓さん(仮名)は、茶髪のショートカットがよく似合う長身美女。年齢は40代だが、10歳以上若く見える。
「うちの人は今、ナカに入っていますが、あと1年半くらいで出てこられると思います」
亜弓さんの夫は現役の暴力団組長であり、目下、刑務所に服役中だ。ヤクザの妻が取材に応じるのは極めて異例だが、彼女は話題の新刊『組長の妻、はじめます。女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録』(廣末登著、新潮社刊)のモデルである。同書では、大阪で有名な不良少女だった亜弓さんが「姐さん」になるまでの半生を描いているが、現在の「リアル極道の妻」生活はどんなものなのか。
「極妻のように豪華な着物なんか着ませんし、派手な生活とは縁遠いですよ。若い衆に料理を作って食べさせ、私は最後にお茶漬けで済ます。相談を受けるときは1対1でお酒を飲みながら話します。若い衆といっても、20代から60代までいますが、うちの人が『子供』だと言っている以上、私にとっても子供同然です」
まるで相撲部屋のおかみさんのようだが、「シノギ(経済活動)は男の世界なので口出ししません」と言うあたり、やはり組長の妻である。普段の生活について話す時も、端々に独特の言い回しが垣間見える。
「事務所と自宅は別なので、自宅マンションの住民には組長の妻であることはメクれて(ばれて)いません。小さな子供のいる普通の主婦だと思われていますよ。ただし、警察は組長の家だと分かっていますから、マンションの周りをよくパトロールされています。
保育園のママさんたちにも知られてはいないんですが、心配なのは子供が『ハジいて(撃って)まうぞ』とかヤクザ言葉をしょっちゅう口にすること。最近は夫の面会に連れていってから、街中に格子なんかがあるとすぐ格子越しに顔を出して『ママ、面会に来て~』などとマネするんです。保育園でやられたらまずいと冷や冷やしています」