セ・リーグのクライマックスシリーズ(以下、CS)を勝ち上がって、19年ぶりの日本シリーズ進出を決めた横浜DeNAベイスターズ。就任2年目のラミレス監督の評価が高まっている。野球担当記者が話す。
「とにかく細かいデータまで把握している。普通の監督は個々の選手のチーム別の対戦成績は頭に入れていても、球場との相性まではパッとは出てこない。しかし、ラミレス監督は試合前の記者との雑談中にも、選手のデータがすらっと出てくる。相当、数字とにらめっこしながら、作戦を練っているようです」
気になるのは、データの少ない日本シリーズの戦い方だ。パ・リーグの覇者であるソフトバンクとは交流戦で3試合当たったのみ。ラミレスDeNAは昨年、今年と2年連続で3、4月は負け越し。交流戦も昨年は7勝11敗、今年も9勝9敗と勝ち越せていない。データの揃っていない春先や交流戦は得意としていないようだ。しかも、この2年間でソフトバンクには1勝5敗と大きく負け越している。
「日本シリーズはデータ以上に自力の勝負となるし、相手を研究し尽くしてもいざ対戦してみると予想と全然違うなんてことは頻繁にある。今のDeNAの勢いはソフトバンクにとって、最も驚異的でしょう。DeNAはメンバーもほぼ固定されていますし、データが少ないことのデメリットはあまりないと思います」(同前)
もう1つ、気になるのはラミレス監督の采配だ。
「シーズン序盤、不調だった桑原将志や倉本寿彦を先発で使い続けたように、自分が一度信じた選手にはどんなに不調になってもこだわるタイプ。短期決戦はシリーズ男もいれば、逆シリーズ男も出てくる。絶不調になってしまった選手に見切りをつけて、打順を思い切って下げたり、先発メンバーから外したりできるかに注目が集まります。選手に不調の兆候が出てきたときは、CSでもタイムリーを放った高卒1年目の細川成也を使っても面白いと思います。DHでの先発もあり得るでしょう」(同前)
CSファイナルステージの広島との最終戦で、先発の石田健大を1回で降ろす非情な采配を奮ったラミレス監督。窮地に立たされた時、打者に対しても同じような扱いができるか。