誰もが知るあの有名外食チェーンも、最初は街の片隅に生まれた小さな店から始まった。「1号店」──そこは創業者の汗と涙、熱い思いが詰まった聖地である。『カレーハウスCoCo壱番屋』の原点を辿ってみた。
名古屋駅から5キロほど離れた名古屋鉄道「西枇杷島」駅。そこからさらに歩いて10分ほどの場所に、1978年創業の「カレーハウスCoCo壱番屋」1号店がある。お世辞にも条件が良いとは言えない立地だが、ここで開業した理由は、単に「場所が空いていたから」だった。
「創業者の宗次徳二は当時、名古屋市西区で喫茶店を経営していました。そこで出したカレーが好評で、カレーの店を出すことにした。そこで近くで物件を探したら車で10分ほどのここが空いていたのです。当時は田んぼに囲まれており、こんな場所で流行るはずがないと言われたそうです」(壱番屋広報担当)
出店前には東京でカレーを食べ、味の研究もしたが、「毎週食べても飽きのこないうちのカレーでいこう、ここが一番だ」と帰りの新幹線で思いつき、店名がCoCo壱番屋となった。
店は初日から好調。売り上げは予想の10万円を上回る14万円で、順調な滑り出しにみえた。
「しかし実際はご飯が足りなくなるとか、カレーをぬるいまま提供してしまうとか、トンカツが真っ黒だったとかそんな有様でしたので、3日目からお客様はぱったり途絶えたそうです。売り上げが7000円しかない日もあったとか」(同前)