同じように補強資金は潤沢、三軍制で育成にも熱心……のはず。それなのに、ソフトバンクと巨人には、なぜここまで歴然としたチーム力の差が生まれてしまうのか。生え抜き選手の活躍の差や、データ野球を積極的に取り入れているソフトバンクとの差もあるが、監督の統率力にも違いが見て取れる。
2連敗後のCS第3戦の試合直前、SBは円陣を組んだが、その中心にいたのは選手会長の長谷川勇也でもムードメーカーの“熱男”こと松田宣浩でもなく、指揮官の工藤公康監督だった。
「1回裏にデスパイネが反撃のタイムリーを放った時に、ベンチの工藤監督が選手たちに“もっと喜びをアピールしろ、盛り上げろ!”とゲキを飛ばしていた。1~2年前の工藤監督には見られなかった姿で、チームの一体感を出すために意識的にやっている。そのためチーム内は風通しがいい」(ホークス番記者)
いつも腕組みしたまま仏頂面の巨人・高橋由伸監督とは対照的である。工藤監督がナインの信頼を得た大きな理由は「故障防止」に対する取り組みだ。
「アメリカ帰りのコンディショニングコーチとともに、独自のトレーニングメニューを作成。選手の筋肉量、体脂肪、骨量などのデータまで把握し、ケガ防止に努めている。今年6月、バンデンハークをローテーションから外したのもケガではなく、疲労蓄積を示すデータが現われていたから。47歳まで現役を続けた工藤監督だからこそのマネジメントです」(球団関係者)
※週刊ポスト2017年11月10日号