国内

終の棲家探し どこで生きるかより、どう生きるかが重要

“友達近居”する7人グループ『個個セブン』のみなさん

 終の住みかが想定外の場所になっても、そこでいい人間関係を築き、楽しい空間にしていく努力をすれば、すばらしい最終地点になる。終の住みかを「どこで、誰と、どう生きる場所」にしたいか、イメージできるだろうか。“最期を迎える準備”を始めた先人の体験を取材した記者が人生最後の家選びについて綴る。今回取材したのは「ひとりで暮らす」「夫婦で暮らす」「子供と暮らす」、「友達と暮らす」など様々な形態だった。

 * * *
「どこで」より「誰と」の大切さを実感してしまったのは、個個セブン(兵庫県尼崎市で、女友達と近居をする、70~80代の7人グループ)の皆さんの“友達近居”が、あまりに印象的だったから。彼女たちが笑顔で語ってくれた、「最終的にホームに入るならエリアはどこでもいい。そこに友達がいることがいちばん大事」という一言がまた、心に刺さりました。

 気兼ねなく一緒にいられる人ありきの生活が、いかに晩年の人生を豊かにするか、実感のこもった答えに、亡き母の晩年を重ねてしまいました。

 記者の母は、68才で亡くなりました。生前、遠方でひとり暮らしをしていた母は、常々「娘や孫に囲まれた老後を送りたい」と話していました。幸か不幸か、亡くなる10か月前から、がん治療のために私たち娘の家の近くの病院に入院。病室ではあるものの、結果的に娘や孫と過ごせることに。

 母は、見舞いで会うたびに笑顔を見せてくれ、入院中も医療スタッフや患者友達に、気遣いと感謝の言葉を忘れずにいました。病室を、わが家同然の温かい空間にしていたのです。

 終の住みかが想定外の場所になっても、そこでいい人間関係を築き、楽しい空間にしていく努力をすれば、すばらしい最終地点になる、というのを、母が身をもって教えてくれた気がします。

 そして、今回の取材を終え、先人たちの暮らしを見るにつけ、その教えは間違っていなかったと、実感できました。終の住みか探しは、快適な“居場所”を自ら作ることなのかもしれません。

「どこで生きる」よりも「どう生きる」かをまず考える。それが終の住みか探しの第一歩といえそうです。

※女性セブン2017年11月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
コムズ被告主催のパーティーにはジャスティン・ビーバーも参加していた(Getty Images)
《米セレブの性パーティー“フリーク・オフ”に新展開》“シャスティン・ビーバー被害者説”を関係者が否定、〈まるで40代〉に激変も口を閉ざしていたワケ【ディディ事件】
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン