1980年代から1990年代にかけて、中国のスポーツ界では種目にかかわらず組織的なドーピングが行われており、少なくとも1万人もの選手がドーピングに深く関わっていたことが分かった。1970年代から中国の五輪選手団の医療責任者を務めてきた薛蔭嫻氏(79=女性)が亡命申請中のドイツの公共放送連盟(ARD)のインタビューで明らかにした。
中国では組織的な大規模なドーピングが選手に強要されているとの情報があったが、元医療関係者から事実が明らかになるのは初めて。
薛氏は中国のスポーツ界を統括する政府機関「国家体育総局」に30年以上勤務。薛氏が初めてナショナルチームによるドーピングを知ったのは1978年のことで、中国の中央指導部がナショナルチームに対して、薬物使用を指示したという。
これを受けて、医療チームが当時のドーピング先進国であるソ連や東ドイツに派遣され、薬物使用の知識を取得。その後、代表選手に「特別栄養剤」と称して、禁止薬物を服用させることが常態化することになったという。
薛氏によると、選手はドーピングを拒否することは許されず、それを拒めばチームを去らなければならなかったという。まず、若い選手たちに薬物が使用され、最年少の選手は11歳で、成長するにしたがって、女性なのに筋肉が過度につくなどの、通常の成長が阻害されていったという。