芸能

俳優・加藤剛 自分をからっぽにして“役に住んでもらう”

加藤剛が俳優座について語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、役者になってから現在までずっと所属し続ける俳優座について、俳優座にある考え方が役者としての自分に及ぼした影響について語った言葉を紹介する。

 * * *
 離合集散の多い演劇界にあって、加藤剛は現在まで一貫して俳優座に所属し続けている。

「千田是也先生が俳優座を作られた時からの考え方でしょうけれど、ヒューマニズムに基づいた演劇表現をしているというのが、俳優座の基本にあります。それから、どんな作品でも自由にできる劇団だという気もしています。それが、僕が長く所属することのできた一番の理由ではないでしょうか。

『新劇』というくらいですから、新しい芝居をやっていこうという想いで作られた劇団だと思います。世の中の新しい考え、生活に合った考えに根ざした劇団でありたいということです。自分のために芝居をやるのではなくて、何か世の中の役に立つとか、人のためになるような仕事としての演劇でありたいというのが俳優座にはあります。

 僕もその考えに沿っています。ですから、今でもそうなのですが、どうすればお客様に、その演劇のテーマや内容をわかりやすくできるか、ということをまず第一に考えてやってきました。『わかってもらえる』ということが一番の目的なんです。

 自分たちの想いだけで演劇は成立しません。それだけでやったことはありません。劇場の中で、舞台とお客様が一つになって、一緒に一つのテーマについて考えたりしながら進んでいくのが大事です。そのためには、お客様に理解してもらうことが何より大切だということです」

《役を演じる》という行為に対し、捉え方は役者によって千差万別だ。「役になりきる」「役に入る」「役をつかむ」──。加藤剛の場合、「役に住んでもらう」という表現を使っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見なえい恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン