かつてゴールドラッシュに沸いた秋田県鹿角市の尾去沢鉱山(おさりざわこうざん)は、1981年にテーマパーク『史跡尾去沢鉱山(マイランド尾去沢)』に生まれ変わり、人々を魅了し続けている。
観光の中心は、約800kmもの坑道を整備して作られた世界最大級の1.7kmの観光坑道。近年の鉱山、廃墟訪問ブームの影響もあり、観光客は後を絶たない。この鉱山は、飛鳥時代(和同元年708年)に発見されたというのは、『史跡尾去沢鉱山』広報の関村秀穂さん。
「ある伝記では、奈良東大寺の大仏鋳造に使われたと伝えられています。その後、江戸時代初期には、この地方を管轄する南部盛岡藩の財源となりました。そして、明治以降は岩崎家(三菱合資会社)によって銅の採掘が行われ、日本の近代化を支えたのです」(関村さん・以下同)
明治期には、日本で最も早く西洋文明の恩恵を受け、住宅すべてに電灯が点り、東北地方初の家庭用水道が完備された場所でもある。
「職員への福利厚生も手厚く、社宅には無料で利用できる大型浴場やスーパーマーケットも完備。教育にも力を入れていたので、鉱山内には小学校もあり、陸上競技場やプール、野球場など総合スポーツ施設も作られていたほどです」
高度経済成長の終わりとともに鉱山の資源も枯渇し、1978年に閉山したが、今もなお、その歴史的雰囲気は残ったまま。坑道内には江戸時代や明治以降の作業風景が等身大のリアルな人形によって再現されており、まるで、今でも鉱山として活動しているかのようだ。
「ガイド付きの坑外施設見学コース(降雪時中止あり。12月以降冬期間休業)では、三菱時代の選鉱場や製錬場跡、社宅跡、小学校跡なども眺めることができます」
鉱山で働いていた人々の暮らしが体感できるスポットだ。
※女性セブン2017年11月16日号