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温厚でおっとりしていた東芝が家族的路線を捨て衰退するまで

家族主義路線を捨てた東芝が衰退するまで

 東芝の業績の悪化が続いている。ついには、長らく続いていた『サザエさん』(フジテレビ系)のスポンサー降板の話も出ている。一連の騒動が夫婦の仲を引き裂いたケースもある。

 中田良子さん(仮名・43才)の夫は、業績悪化のあおりで勤めていた東芝の子会社が別の企業に買収された。

「私自身、これまで夫が東芝グループの一員であると深く考えたことはありませんでした。しかも夫の会社の買収先は、世界的にもトップシェアの優良企業で、お給料や福利厚生も充分だった。だから会社が変わったとしても別に構わないやと思っていたんです」(中田さん)

 買収先の待遇が東芝と変わらないことを知った中田さんは、自宅で夫に「よかったわね」と声をかけた。すると夫は怒気を含んだ声でこう言い返した。

「どこがいいんだ! みじめなもんだよ!」

 中田さんが眉をしかめる。

「日曜の夜に子供たちとテレビを見ていて、私が何気なく『昔は東芝日曜劇場だったんだよ』と言った時も、夫は、『そんな話、しなくていい!』とキレて、『もう東芝からは切り離されたんだよ!』と怒鳴りました。夫としては、自分の会社が日本のトップ企業のグループ内にあり、世間に知られていることが何より重要なようです」(中田さん)

 そんな夫に中田さんは不満を持つようになった。

「小さい子供がいて家庭を守る妻としては、これまでの待遇が維持されることが何より大事であり、わけのわからない東芝愛とか男のプライドは必要ありません。夫を見ていると、『本当に家族のことを考えているのかな』とつい思ってしまう。私のイライラを彼も察したようで、会社が変わってからお互いにギクシャクした関係が続いています」

 もう少し下の世代になると、夫婦ともに達観している。柿野京子さん(仮名・32才)は、夫の勤務先である『東芝メディカル』が2016年2月にキヤノンに買収された。

「東芝ほど規模は大きくないですが、キヤノンもネームバリューのある有名企業なので安心しました。子供の幼稚園のママたちは企業名で序列を決める傾向があるけど、キヤノンなら東芝にも負けないでしょ(笑い)。お互いの両親も、『キヤノンならよかったね』と喜んでいますし、夫も仕事内容も待遇も変わらないからと特に不満はなさそうです」(柿野さん)

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