少子化、出版不況といわれる時代に、今絵本が売れている。10年前に比べて雑誌・文芸書などの売り上げが約30%減少している中、絵本を含む児童書だけは約8%売り上げが伸長(『出版物販売額の実態 2016』日販より)。
その秘密は、絵本を楽しむ大人が増えたことにあるようだ。子供の頃は気づかなかった、でも大人になった今だからわかる絵本の扉を再び開いてみませんか…?
せなけいこさんは、『ねないこだれだ』(福音館書店)などの代表作を持つ絵本作家だ。1932年に、東京都生まれ。武井武雄氏に師事。1970年『いやだいやだの絵本』で産経児童出版文化賞受賞している。
そんな彼女は、「とにかく本が大好きで、小さな頃から暇さえあれば本を読んでいました。本を読んじゃいけないなんて言われたら、大人も子供も困るでしょう」と、静かに笑みを浮かべる。
絵本の世界へ進むべく、親の反対を押し切って、10代で童画家の武井武雄氏に弟子入り。最初の記憶であるという武井氏の『おもちゃ箱』に憧れ、紅一点で修業した。
「道を歩いている時、チョークで描かれた落書きを見て、ピン!と思いついたり、イメージがどんどん湧いてくると、絵本を作ることがもう純粋に楽しくて。そうして作った本を子供が夢中になって読んでくれるのが何よりもうれしい。私が何でも絵本にしちゃうものだから、子供たちは“ママに絵本にされちゃうよ!”ってよく逃げ回っていましたね(笑い)」
伸び伸びと描かれた絵本を読むと、たちまち童心に帰ってしまうのは、せなさんがまるで少女のように絵本作りを楽しんでいるからかもしれない。
※女性セブン2017年11月16日号