柳田の活躍はどう評価されるか
今年、プロ野球の契約更改が大きく変わる。初めて、交渉前日までに、提示する年俸額を口頭で伝えることになったのだ。選手にとっては考える時間が与えられるわけで、交渉で主張すべき内容を精査できるようになったわけだが、球団サイドでは、事前通知によって「他球団と詳細に比べられる」ことへの警戒が強まっているという。元阪神球団社長の野崎勝義氏はこういう。
「昔では考えられないほど、球団をまたいでの選手の“横”のつながりができている。以前はオールスターぐらいしか他球団の選手と話をする機会がなかったが、今は一緒に自主トレするのも当たり前、マネージメント会社を通じたつながりもある。
この秋の侍ジャパンの試合(ENEOSアジア プロ野球チャンピオンシップ2017、11月16~19日)は、売り出し中の若手を中心に選出されており、大会前の合同キャンプもある。ちょうど契約更改の時期と前後するので、そこで“連絡を取り合おう”というような話題が出るかもしれません」
今度は球団側が、チームとしての成績や観客動員に違いがあるなかで単純比較できないといった論拠のある反論を強いられることになる。ただし、選手側が必ず事前通知の恩恵に与れるとも限らない。
「事実として、球団によって年俸総額の予算には大きな違いがある。球団の顔であるスター選手、エースらの億単位での年俸にかかる額をある程度決めた上で、予算の残りを分配していく。ない袖は振れない。事前通知で若手が交渉の材料を得ても、全員がアップを勝ち取れることにはならない」(在京球団の関係者)
契約更改であまりに揉めると、翌年以降のトレード候補に回されることもある。選手たちは事前通知で示された額を前に、どう対応するか頭を悩ませる一夜を過ごすことになりそうだ。
※週刊ポスト2017年11月17日号