11月12日に初日を迎える大相撲九州場所。鶴竜が休場することになったものの、日馬富士以外の3横綱が全休した先場所とは、全く違った雰囲気の初日になりそうだ。が、出場する3横綱は全員、“手負い”の状態での出場となる。
「通算40回目の賜杯を狙う白鵬は優勝した7月場所以来の出場ですが、万全ではない。秋巡業でもぶつかり稽古で胸を貸すものの、取組形式の三番稽古は行なわなかった。調整は遅れている」(担当記者)
3場所連続休場(5、7月は途中休場)明けの稀勢の里は巡業で精力的に三番稽古に励み、「3月場所で痛めた左の上腕、胸部は完治した」(後援会関係者)と復活をアピールするが、最大の武器である“左のおっつけ”はまだ見られない。
「大関時代、綱取りがかかる場所は決まって初日に負けていた。横綱昇進後もケガを押して出場した5月、7月は初日に土がついている。今回も初日がカギ。黒星スタートなら一気に崩れかねない」(協会関係者)
先場所、逆転優勝を果たした日馬富士も、巡業に専属トレーナーを帯同するなど満身創痍なのは変わらない。
これまでも、九州場所は「時代の変わり目」となってきた。横綱では、武蔵丸、双羽黒、三重ノ海の引退が九州場所だった。稀勢の里が尊敬する師匠・隆の里(鳴戸親方、故人)も1985年九州場所で5日目から休場。翌年初場所の初日で黒星を喫して引退している。
「2000年九州場所は曙が14勝1敗で優勝したが、両膝のケガの悪化と引き替えだった。翌初場所は全休してそのまま引退。朝青龍も2009年九州場所で11連勝のあと4連敗。翌初場所中に泥酔騒動を起こし、引退勧告を受けた。貴乃花は2002年の九州場所を右膝のケガで全休。“大横綱の引退は東京で”という事情があったとされ、翌年初場所で引退を表明した」(ベテラン記者)
次の世代に引導を渡される節目となってきた九州。今年も「4横綱時代」を揺るがす一番が見られるか。
※週刊ポスト2017年11月17日号