もしも自分ががんになったら、周囲の人々にどう伝えるか──。それはとても重要な問題だ。自分の子供に対しては心配させまいと、がん罹患を隠す親もいるだろう。しかし、子供に伝えてよかったと考えるがん患者も多い。がん患者の子供をサポートするNPO法人ホープツリー代表であり、医療ソーシャルワーカーの大沢かおりさんはこう話す。
「子供は告白された瞬間は泣いても、親ががんであることに慣れます。むしろ、正直に伝えることで親が自分を信頼してくれていると感じます。一方、何も知らされずに親が亡くなると、子供は後悔し、教えてくれなかった大人へ不信感を抱くことも。治療中も大病であることを感じ取ってストレスを抱えてしまいます」
では、どう伝えるべきか。臨床心理士の小林真理子さんは、年齢別に伝え方のポイントがあると言う。
「全年齢に共通して大切なのは、伝えて終わりではなく、“自分の生活はどうなる?”といった子供の将来への不安を解消してあげることです」
伝えた後も、通常通りの生活をさせ、家でも学校でもこれまで通り遊びや部活をさせる配慮が必要。“いつもと同じ”を心がけることが大切だ。
4年前に乳がんの治療を始めた河合静江さん(仮名・42才・自営業)は、告知されたその日の夜に、当時13才の娘と9才の息子に打ち明けた。
「“大事な話がある”と子供を座らせ、“がんという病気、知ってる? お母さん、その病気になったんだよ。先生は、手術で悪い部分を取れば大丈夫と言っているから、取って治すね”と伝えました。息子はひとしきり泣くと神様に『お母さんにこんなつらい試練を与えないでください』と手紙を書いてくれ、娘はお手伝いをしてくれるようになりました。話して家族の団結力が強まったと思います」
※女性セブン2017年11月23日号