がん医療の進歩でがんの生存率は延びている。治療と仕事を両立できる患者も多い。一時的な感情で仕事を辞めず、収入源は確保しておくべきだと、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは力説する(「」内以下同)。
治療を続けながら仕事をするには、職場の上司や同僚に伝えないわけにはいかない。しかし、伝えたことで逆に仕事を辞めさせられないか不安で言えないという人も多い。迷ったら、伝えるメリットや伝えないデメリットを考えよう。
「経済的には、がんであることを伝える価値は高いんです。傷病手当金をはじめ、会社独自の賃金保障制度や積み立て休暇の活用など、給料を減らさずに働き続けられる制度もありますし、どう休みを取るべきか相談できた方が、会社にも迷惑をかけないですみます」
がん体験者によると、どういう働き方がいいかを会社と相談した結果、復帰後がスムーズになったのだという。
「がん罹患後は、前のように仕事ができなくなります。そのうえで、自分は何ができて、何ができないかを伝えましょう」
◆働き続けたい意思を最優先で伝えた
小腸がんの日向理恵さん(仮名・33才・パート)は告知されて数日後に職場に相談した。
「治療方針を話し、“可能なら休んで治療に集中したいけれど、難しければ勤務時間を短縮して働きたい”と伝えると、“帰る場所は残しておくから”と言ってもらえました。半年間休んでから、最初は時短で、徐々に働く時間を増やして復帰しました」
※女性セブン2017年11月23日号